日本医療大学学園コラム|世界に広まる“認知症の友”

日本医療大学|アンデルセン便り

12月01日

世界に広まる“認知症の友”

 前回の「Demensven(認知症の友)」の続きです。
デンマークのアルツハイマー協会は、「Demensven」の運動は以下のポイントに沿ったものでなければならないと考えています。

(1)タブーを壊せ
認知症は「オープンにしてはいけない病気」「自然年齢の一部」「記憶を失うだけ」というタブーや神話。これらすべて、認知症の人と家族の生活を難しくさせるものであす。これに対し、認知症の友は、現代で最強かつもっとも致命的な国民病の一つを取り囲むこれらのタブーや神話を打ち壊します。
(2)知識は鍵
認知症の友になることは、誤解を打ち壊す知識を身にまとい、異なった状況で認知症の人を支援する具体的な手段を手に入れることです。認知症の友は、関わりの度合いはもちろん自分で決めてよく、内容ではなく、救おうというその手こそが重要なのです。従って、まず最初に認知症に関わり始めることこそが大切なのです。
(3)あなたの生活から出発
認知症の友になることは、簡単な一歩にみえますが、その一歩は容易ではありません。だからこそ、この運動は、個人のニーズと期待を土台に最適な形に調整されなければなりません。どれだけ関わりたいかは自分自身で決めてよいのです。

 以上のポイントのほか、認知症の人に手を差し出すことから、病気にもっと深く関わることまで、あらゆる支援の手が認知症には頼りとなります。そのため、アルツハイマー協会は認知症にやさしい社会を作りたいと願う企業、公的機関、組合、などとも関係を深め、運動を盛り上げようとしています。すでに認知症にやさしい自治体、スーパーマーケット、バス会社、ホテルなどが現れてきています。
 人類はこれまで、さまざまな疾患に対処・克服しようと努力を尽くしてきました。しかし、認知症への対処としては、薬などの治療以外に、多くの人の関わりが求められています。この中で、「認知症の友」のような運動は、前回紹介した日本やイギリスのほか、世界に広まりつつあり、オーストラリア、カナダ、ナイジェリアなどでもはじまっています。こうしてすでに1000万人以上もの“認知症の友”が誕生しています。すでに国際的な運動となっているのです。

デンマークの国会入口。ドアの上には“4つの痛み”の石像が飾られている。左から、耳、頭、腹、歯の痛み。国民の4つの痛みを政治家は知らないといけないという戒めである

デンマークの国会の中に展示されている署名入りの憲法の原典

略歴
銭本 隆行 氏
学校法人日本医療大学特別講師、認知症研究所所員
1968年広島市生まれ、福岡市育ち。早稲田大学卒業後、時事通信社、産経新聞社に勤務の後、2006年にデンマークへ渡る。デンマークの国民高等学校「日欧文化交流学院」にて、福祉、教育、医療に関する研修を日本から受け入れてきた。2011年から2015年まで同校学院長を務め、現在は学校法人日本医療大学特別講師、同大学認知症研究所所員を務めている。

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