日本医療大学学園コラム|認知症と関わる際の7つのアドバイス6

日本医療大学|アンデルセン便り

08月01日

認知症と関わる際の7つのアドバイス6

 6つ目のアドバイスは、「注意するのを避ける」、です。
好きな人をゆっくりと失う痛みは、決してなくなりません。認知症を持つ人の記憶が次第に難しくなるのをそばでみるのは心が痛むものです。当たり前だった日々のものごとを認知症を持つ人が実行できなくなっていくのを受け入れるのは容易ではありません。
 しかし、その痛みは、かつて当たり前にできたことを保持しようと試みても小さくなるものではありません。認知症を持つ人が以前と同じように生活するための闘いは、勝つことができない戦いなのです。闘いに挑んでも、逆に認知症を持つ人を突き放す危険もあります。そうなれば、認知症を持つ人は傷つかず、嫌にならないために孤立し、自身に籠ってしまい、逆効果なのです。
 物事を正しく思い出せないか、何度も同じ過ちを繰り返すからといって認知症を持つ人を注意することは、かつてそうであったものを保持しようとする試みとなります。しかし注意はしばしば、両者に衝突とフラストレーションを生みます。
 注意し続ければ、認知症者のセルフイメージを打ち壊し、最後には自尊心も破壊してしまうかもしれません。その代わりに、いまだできるものと、人生を通して行ってきたものを強調してみましょう。
 認知症には、軽い誤解が生じがちです。脳の障害は、メッセージを理解し、処理することを難しくします。敬意と価値観、積極的な承認を持って認知症者に出会うことは大切です。支援の手は優しく、ほとんどみえないもので、認知症という前提に立たなければなりません。
 認知症を持つ人は、状況を把握し、認めるのが難しい状況にしばしばあります。失ったものを感じ、優しさと共感する能力と出会う必要があります。だから、認知症を持った人からではなく、元気な家族、友達、同僚から関りを持っていかなければならないのです。

デンマークの夏は各地で祭りが開かれる。

パン生地を枝に巻き付けて“ひもパン”は焚火の楽しみの定番。

略歴
銭本 隆行 氏
学校法人日本医療大学特別講師、認知症研究所所員
1968年広島市生まれ、福岡市育ち。早稲田大学卒業後、時事通信社、産経新聞社に勤務の後、2006年にデンマークへ渡る。デンマークの国民高等学校「日欧文化交流学院」にて、福祉、教育、医療に関する研修を日本から受け入れてきた。2011年から2015年まで同校学院長を務め、現在は学校法人日本医療大学特別講師、同大学認知症研究所所員を務めている。

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