日本医療大学学園コラム|認知症と関わる際の7つのアドバイス3

日本医療大学|アンデルセン便り

04月01日

認知症と関わる際の7つのアドバイス3

 3つ目のアドバイスは、「いまそこにいる」、です。
 “いま”は、我々が共有する唯一の場所です。「いまそこにいる」ことは、まさに今ここにあり、起きていることを共有することを意味します。それは、認知症を持つ人との会合の中でとりわけはっきりします。認知症は、数分前に起きたことを覚える能力を少なからず奪います。認知症は、過去と、未来が消えることへの予測を分かつかもしれないのです。だから、“いま”は、認知症を持つ人にとってとても重要なものなのです。
 認知症を持つ人と一緒にいながら、今ここで起きていることに集中することで、あなたは認知症を持つ人に耳を傾け、関心を払い、その場に共に存在することになります。認知症を持つ人がそこで気楽に感じられるようになれば、一緒にいることは成功です。しかしそれには、認知症を持つ人自身が、敬意を払われている、と感じられなければなりません。また、本人自身がその場のテンポや何をするかの決定に関わることも重要です。
 多くの人は、認知症を持つ人と共にいるのが難しいと感じがちです。それは間違ったことをしたり言ったりすることを常に恐れていれば、人工的に簡単に感じることができます。しかし、ときには間違ったことを言ったりしてもいいんだ、という気持ちを持ってください。好奇心、思いやりを持って接すれば、よい瞬間を共に経験できます。そばにいることは必ず良い瞬間を与えてくれます。
 認知症を持つ人の状態は、時と日によって大きくぶれがちです。あるときに出来たことは次にはできないかもしれません。しかしもしかしたら、次の日ならば再び可能となるかもしれません。だから、認知症を持つ人が“いま”いる場所で関わることが必要なのです。
 状態や状況を考慮し、“いま”可能なことを考えてみましょう。認知症が進み、言葉が次第に消えていく状況であれば、静かに一緒に座り、手を握ることならばもしかしたらできるかもしれません。そばにいてあげることを身体で表現することだけで、しばしば最良の存在となりえるのです。

平らな大地
デンマークでは高い建物はほとんどなく、古い教会が今でも町で一番高い建物になりがち。そして塔の上からは平らな大地が広がる
フットボール

デンマークの学校には“部活”はなく、地域のクラブに所属するのが普通。フットボールクラブでは男女が一緒に練習するのは当たり前の光景である

略歴
銭本 隆行 氏
学校法人日本医療大学特別講師、認知症研究所所員
1968年広島市生まれ、福岡市育ち。早稲田大学卒業後、時事通信社、産経新聞社に勤務の後、2006年にデンマークへ渡る。デンマークの国民高等学校「日欧文化交流学院」にて、福祉、教育、医療に関する研修を日本から受け入れてきた。2011年から2015年まで同校学院長を務め、現在は学校法人日本医療大学特別講師、同大学認知症研究所所員を務めている。

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