日本医療大学学園コラム|抱えない介護4

日本医療大学|アンデルセン便り

01月01日

抱えない介護4

 これまでデンマークの抱えない介護の考え方や原則についてお話してきました。実際には、身体を使って学んでいくのがもっとも大切です。しかしここでは、みなさんの手を取って教えるわけにはいきませんので、これまでの話をもとに想像しながら試してみてください。
 ただ、重要なポイントとして、7つのゴールデン・ルールが存在します。以下のルールを念頭におけば、みなさんの実践がより容易になると思います。

1.「本人の能力を利用する」
 とても重要なポイントです。可能ならば本人に手伝ってもらいましょう。可能な限り参加してもらうことで、本人は自己管理(こうやればいいんだ)と自尊心(できるんだ)の感覚を持つことも出来ます。

2.「補助器具を使う」
 「補助器具」とは福祉用具の中でも、職員の負担軽減のための器具で、スライディングシート、回転台、リフトなどです。「時間がもったいない」ではなく、そのために時間を使うことは、回りまわって職員の労働意欲の向上にもつながります。

3.「回す、引く、押す」
 持ち上げることを絶対に避けるため、これらの言葉を呪文のように“唱え”ましょう。

4.「何をするのか本人と共通意識を持つ」
 職員と本人はそれぞれ、何が目的で何をするのかについて話をしながら、共通理解を図らなければなりません。

5.「突発的な出来事に注意」
 手順どおりにやっていれば労災事故は起きることはまずありません。想定外の事態、たとえば、突然の転倒、滑る、などが起きたときに多くの労災は生じるものです。常に何かが起きても対応できる“余裕”を持つことが必要です。

6.「疑問や不確かなものを感じれば同僚に手伝いを求める」
 「これは私の仕事」、と思って、一人でエイヤッ、とやってしまうことは必ずしも正しくありません。その結果、本人も自分も危険にさらしているのです。手伝いを求めることは逆に責任感ある行為なのです。

7.「本人と一緒にクリエイティヴに考える」
 必ずしも実践は教科書どおりいきません。補助器具もなければ、本人の調子や理解もまちまちです。そんなときは、本人と話しながら、一緒になって創造的に切り抜けることも求められます。

雪景色
デンマークはあまり雪は降りませんが、年に数回は積もることがあります
公共レンタル自転車

エコに気を遣うデンマークでは、大きな都市に公共レンタル自転車が備えられるようになってきています

略歴
銭本 隆行 氏
学校法人日本医療大学特別講師、認知症研究所所員
1968年広島市生まれ、福岡市育ち。早稲田大学卒業後、時事通信社、産経新聞社に勤務の後、2006年にデンマークへ渡る。デンマークの国民高等学校「日欧文化交流学院」にて、福祉、教育、医療に関する研修を日本から受け入れてきた。2011年から2015年まで同校学院長を務め、現在は学校法人日本医療大学特別講師、同大学認知症研究所所員を務めている。

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